2014年12月 インタビュー

2014年12月22日、川崎のカウンセリングオフィスにて、新井サンポ先生に今年の活動の振り返りと、来年の展望についてお伺いしました。

Q:2014年は一月いっぱいご静養されるという、大変なスタートになられました。今現在振り返ってみて、その頃のお気持ちやご状況などいかがでしたでしょうか?

新井先生:そのときの状況を受け入れるのに時間が掛かりましたが、受け入れてからはもう、全てを忘れて過ごさせて貰いました。ここ数年、長期間休むことなどありませんでしたから、良いリフレッシュになったと思いますね。

Q:現在のご体調はいかがですか?

新井先生:「すっかり回復して良かったですね」とお言葉をいただきますが、実感としては60%か70%程度しか伝えられていないように感じます――でもそれは、入院前からそうだった可能性もなきにしもあらずですね(笑)

Q:二月から活動を再開されるわけですが、それに伴い会員制度が導入されました。現在の会員数は何名ほどでしょうか? また、今後どのようにして会員を増やしていくのでしょうか?

新井先生:現在会員としてご参加いただいている方々は30名ほどになります。ナムギャルというグループは「仏教を学びたい」と感じられた方々が、みんなで時間を割いて集まり、成り立っているものですから、会員が増えればいい、人が集まればいいということではありません。
 会員を増やすということよりも、参加してくださっている方々に「ナムギャルを通して自分たちの拠り所となる場所を作るんだ」と感じていただけるようにしていきたいですね。その方が僕自身もありがたいし、皆さんにとっても意義深いことだと思います。

Q:今年は会員向けのイベントとして、ケアマネージャーの高須さんを講師にお迎えした「明るい老後を迎えるには」というセミナーも開催されました。高須さんは「虹と風の会」で学ばれている生徒さんとのことですが、来年以降もこういった生徒主催のイベントも行われていくのでしょうか?

新井先生:年二、三回を目処に開催していく予定です。ナムギャルの生徒さんたちの中には、素晴らしい知識や技術をお持ちの方が沢山いらっしゃいます。
 先日行われた団らん会において「一品持ち寄り」としたところ、生徒の皆さんが作ってくださった素晴らしいものが集り、どこのお店のビュッフェにも引けを取らないものになったように、生徒の皆さんが自身の特徴や知識、技術を持ち寄り、互いに助け合い、支え合う機会になればと思います。

Q:会員向けと言いますともう一つ、本ホームページ内でも会員専用ページにレポートがあがっておりました軽井沢に新たに建てられる予定のお堂がありますが、こちらご状況はいかがでしょうか。

新井先生:現状としては、土地だけがあって年二回の草刈りをしているだけという感じですかね。軽井沢につきましても、虚よりも実が凄く大切で、場所が出来て建物が建てば良いということではなく、参加してくださっている方々の気持ちや状況が熟してきて、その延長線上になくてはならないと思っています。そうでなければ今のままで全然構わないと思いますし、現状は資金を集めながら、中身を充実させながらゆっくりとやっていこうと考えています。

Q:イベントを振り返らせていただきますと、今年も二回「サンポの散歩」が開催され、二回とも大盛況でした。(第26回、第27回)

新井先生:それはもう、本当に皆さんのお陰としか言えませんね。
 スタッフの方々で言えばパンフレットや誘導など、みんなで一丸となり、力を合わせてサポートしてくれていますし、しっかりと下調べをし、組み立てることに長けている方がいてくれて、綿密に計画を立ててやってくださっています。
 参加者の方々もよく心得ていてくださっていて、マナー良く、素直に誘導に従ってくださっていますから、あれだけ大人数でも大きなトラブルもなく開催できています。
 「サンポの散歩」は、みんなで助け合いながらこの会を作っているという感じが凄く良いですね。

Q:パサン先生の「モモ作り&ヒモ結び」、特別セミナー「Muguの青い空」、浅井万友美先生の「西蔵歴史探訪」など、チベット仏教のみならず、特別講師をお迎えしたチベット文化に触れ、親しむためのセミナーも多数開催されました。

新井先生:チベット文化を知っていただく良い機会になったと感じます。仏教のみならず、やはりそこに携わっている方々の背景や、その雰囲気を感じていただくことも大切なことだと思いますので、もっとチベットを知って貰いたいし、今後とも折を見てこういったセミナーも開催していければと思っています。

Q:新たな試みとして、毎月第二土曜日に定期イベント「癒やしの一日」もスタートされました。

新井先生:まだ始めて間もないイベントですが、良い時間になっていると思います。朝から最後まで来ていただく方が多いですが、途中で帰られても、朝だけ、もしくは夜だけという参加の仕方でも構いませんので、自身の心を見つめ、癒やす時間として沢山の方にご参加いただければと思います。

Q:一日先生がいらっしゃるということですから、カウンセリングでご相談されたことがその後どうなったとか、事後報告に見えられる方も増えていくのではないかと思いますが。

新井先生:そのようなお気持ちでご参加いただくというのも、僕も安心するし、嬉しいですね。来ていただいたからには一つ二つ、必ず何かプラスになるものを持って帰っていただきたいなと、そういう気持ちでやっていますので、きっと有意義な時間を過ごしていただけると思います。

Q:お勉強会について振り返りますと、本年10月から新たなお勉強会として「心のお話会」がスタートしました。こちらはどのようなお勉強会なんでしょうか?

新井先生:質疑応答のような形で、僕から皆さんに、皆さんから僕にと、掛け合いのような形で進めています。膝をつき合わせて、必要な話だけをしていくような、そんなお勉強会になっています。こちらもスタートして間もないお勉強会ですが、良い時間になっていると思います。

Q:ナムギャルには大変多くのお勉強会がありますが、これから学んでみようと思われる方は、どの会が参加しやすいものでしょうか?

新井先生:今お話した「心のお話会」もそうですし、「月の会」、「虹と風の会」、「空の会」、「FRIDAYS」ですね。これらの会はとくに専門的な話を中心としたものではなく、仏教の智慧を日常にも活かせるよう、お伝えしていますので、お時間に合わせてご参加いただければと思います。

Q:今年の活動を振り返り、簡単に総括などをいただけませんでしょうか?

新井先生:今年は前半、思ったように動いていくことが出来ませんでした。しかしその間、自分が止まってみて周りが少しだけ見えてくると、やはり「みんなで歩いて行くんだな」ということが、改めて強く思えました。
 自分だけが突っ走ってもいけないし、足を踏み外してもいけない。みんなで気持ちを合わせて一歩一歩進んで行くんだなと、そう感じた一年でした。

Q:来年の活動など、具体的に決まっていることがございましたらお教えください。

新井先生:2015年、イベントにつきましては「サンポの散歩特別編」として四月、五月に高野山、善光寺へと参ります。大きなイベントが重なっておりますからテンポよくやっていきたいと思っておりますし、お勉強会では新たに一年を通してのティーチングを行います。こちらも襟を正してやっていかなくてはと思っております。

Q:間もなく2014年も終わるというところなのですが、先生から見て今のこの世の中について、何かお言葉をいただけないでしょうか?

新井先生:一月前には話題だったことがもう忘れ去られているように、今の世の中というのは流れがすごく速いし、情報量も以前とは格段の差だと思います。
 このような時代だからこそ、目まぐるしく移り変わっていく情報や流行など「外側」のものではなく、もっともっと自分に集中して、気持ちを「内側」に向けることが大切だと感じます。
 自分がどうしたいのか、どうすべきなのか、心に集中して丁寧に考えることをしなくては、外側に振り回されるばかりになってしまいます。周りは本当に無常の世の中で、いろいろな形に変わっていってしまうものですから、そこに振り回されても何も残りません。内側から自分自身を動かしていく、そのような姿勢が必要なのではないでしょうか。
 また、今の世の中に言葉を投げ掛けるとしたら、全体的にもう少し思いやりを持っていただきたいなと思います。世界情勢に目を向けてみれば、中東の方で未だに悲惨な争いが行われていることが哀しくてなりません。いかなる主張があったとしても、子供を殺す必要などないと思います。
 平和な世に生かされている私たちにしても、千差万別、十人十色、誰もが違う考えを持って生きているということを認め合い、許し合い、めまぐるしい今の時代であったとしても、思いやりを持って他者と接していっていただきたい。世界平和というものは、きっとそういうことからできていくのではないでしょうか。

Q:長々と伺わせていただきましたが、最後、生徒の皆さんに何かメッセージをいただければと想います。

新井先生:是非、来年一年の目標を持っていただきたいと思います。目標を持ってそこに邁進するということは、当たり前のようで凄く大切なことです。
 一年間の目標、十年先の目標、一生の目標という形で、きちっと目標を持ち、それを是が非でも達成するという気持ちでおやりになるのがとても大切な事だと思いますので、まずは年始に、夢を持って「こういうことをやるぞ」と考え、過ごしていただきたいですね。